ここでは患者さんに良く聞かれること・最近話題の技術・その他をとりとめもなく書いていきます。

(1) 治療途中で遠くに引っ越す場合(転医について)・・・


東京という土地柄、また治療期間が長くかかるという事情から、治療途中で転医を余儀なくされる方も多数いらっしゃいます。
当医院での転医に関するシステムをお話ししましょう。

  • 当医院から送り出す側の場合・・・
    転医依頼書を作成の上、今までの治療に関する資料を作成し、患者さんにお渡しします。さらに転居先の近くに矯正の専門医がいないかを、いろいろなネットワークまたは名簿などから探します(国内・海外ともに可能)。こちらで転居先付近の矯正専門医が見つからない場合は、転居後患者さん自身で探していただきます。治療の進行状況に応じて、治療費の返還をおこないます。
  • 当医院が転医してきた患者さんを受け入れる場合・・・
    患者さんが前の先生から資料・治療内容・返金額を書いた転医依頼書をお持ちかどうか確認します。お持ちでない場合、連絡が取れる場合は、前の医院の担当の先生から資料を郵送していただきます。海外からの転医で前の医院に連絡が取れなかったり、何らかの事情で全く資料をお持ちでない患者さんもいくらかいらっしゃいます。その場合は、こちらで通常の検査を行った上、今までの治療内容を推測し、患者さんに今後の治療方針を提示します。費用は治療の進行状況により、前医院からの返金額のみで進められる場合と、幾分の追加が発生する場合があります。

 転医のやり方には、各医院で共通した決まり事の様な物はありません。しかし矯正専門医ではだいたい上記のような方法を採る医院が多いと思います。当医院では必ず転医の手続きをとるようにしておりますが、患者さんの中にはそのまま遠くから通われている方もいらっしゃいます。

(2) 他科との診療連携について・・・



なかむらばしデンタルクリニックでは歯科矯正専門に治療をおこなっており、一般治療は一切おこなっていません。現在は歯科の分野でも、各分野で技術が高度に進化しており、きちんとした勉強をするには時間がかかります。これからは、それぞれの専門の先生が自分の得意分野だけを診療する、専門分化が進んでくるものと思われます。当医院では、抜歯や虫歯治療から、下顎骨離断手術まで、色々な病院と連携して診療をおこなっています。一般治療が必要となった場合、それぞれの得意な分野の先生を、または専門医の先生を当医院から紹介して治療をおこなっております。

(3) 医療費控除について・・・


 医療費控除とは、高額な医療費を払われた年(年間10万円以上)は、その方の払われた税金の中から、税率に応じて還付しようという国の制度です。ご自身で申告されないと受けられないので、確定申告の季節には面倒がらずに行かれると良いと思います。医療費控除には、適応されないものもあり、たとえば美容整形手術などは健康の為ではないという理由で、認められません。なかむらばしデンタルクリニックでは美容目的の方は一人もおりませんので、全員医療費控除の対象となります。当医院では全ての患者さんに、治療費の領収書は必ず毎回お出ししており、患者さんになくさないように保管していただいております。
翌年の確定申告の時、必要書類をまとめて申告していただくと、納めた税金の内からいくらかが返還されます。患者さんの正当な権利として、是非申告していただきたいと思います。


(4) 成人矯正の見た目について・・・


 近年成人矯正の割合がどんどん増えています。成人が歯並びを直すとき、最も気にするのは、装置の見た目です。見た目対策には、下記のような物があります。
 成人矯正の装置にもたくさんの種類が有りますが、多くの場合取り外し式の簡単な物で直る事は少なく、歯のにワイヤーをとおす為の留め金(ブラケット)を接着して固定します。その素材にも金属色のものと、白い素材のものが有ります。

  • 金属色の材料を後ろから接着する。
  • 白い素材の留め金を表から接着する。

 白い材料には、セラミックと呼ばれる硬い石の素材と、コンポジットと呼ばれるプラスチックの素材が有ります。

セラミックブラケット・・・
セラミックは材質が硬く、金属とほとんど同じように歯に力を伝えられます。近年技術革新が進み、以前のように治療期間が長引くことも、素材自体が割れることも少なくなってきました。長年装着していても、素材自体が変色をすることはほぼありません。(周りに色が付くことはある)コンポジットブラケットに比べると高価になります。
コンポジットブラケット・・・
コンポジットは材質的には柔らかく、歯にダイレクトに力が伝わらない欠点があります。また長年装着しているとだんだん変色してきて、いつまでも付けた時と同じようにきれいに、というわけにはいきません。しかしコスト的にはセラミック素材のものより安くなるメリットもあります。


(5) 顎関節症について・・・

 最近、顎関節症を訴えて来院される方が非常に多くなったように思います。
 顎関節症には症状が3つあります。

  • 口を開けるときに、顎の関節部分から音が鳴る
  • 口を開けるときに、顎の関節部分(耳の穴の前方部)が痛む
  • 口が開きづらくなる。また全くは開かなくなる。

といったものが有ります。
またそれに伴った2次的な関連症候群として、

肩こり・偏頭痛・腰痛・めまい・吐き気

など多種多様に現れてきます。これらと噛合せ(咬合)の結びつきは、証明が出来るわけではありません。果たしてどれが噛み合わせによって引き起こされているのかは、実際に噛合せの治療をして症状が治ったときにはじめて分かる場合が多いのです。
 顎関節症の原因は・・・大きく分けて

  1. 悪い噛合せ
  2. ストレス
  3. その他

があります。
 一般に原因を完全に突き止めることは難しく、そのため治療も、原因に対して行う根治療法ではなく、そのとき出ている症状に対して行う対症療法が中心です。多くの場合進行性にどんどん悪くなることは無いのですが、治っても繰り返し症状が現れることも多く、その点では非常にやっかいなものです。しかしながら、進行性ではないことなどから、現在病気とは認定されておらず、原因の大きな部分にストレスがあるため、あまり気に病むことが一番いけないことでしょう。


(6) 歯の漂白について・・・

今は歯の漂白がブームのようで、矯正専門の私のクリニックにも多数ご質問をいただきます。笑顔からこぼれる白い歯は、昔から美人の条件の一つでしたから、皆さんがあこがれる気持ちは良く分かります。歯を白くする方法はいくつかあり、効果の出る場合もありますが、人によっては限界があることも事実です。
当医院でも、本当に白くなるのなら、素晴らしい技術だなーと思い、10年前よりいろいろ試してきました。その結果、いくらかは白くなりますが、患者さんが期待するように別人の様に白くなるとはいかないようです。
ここ数年急に漂白がブームになり、マスコミなどにも多数取り上げられるようになってきました。我々から見て、きれいな色の歯をお持ちなのに、もっと白く、もっと白くと思うあまり、無理をして健康な歯を削ってまで白い歯にされることは、医療人としては賛成できかねます。長い目で見たとき(歯の一生は人の寿命とほとんど同じ)、機能(健康)と美しさは両輪で考えていかないと、後々後悔されることも出てくると思います。
 現在は歯科医の私から見て疑問に思うような宣伝や本を出す先生がたくさんいて、それを見たり、読んだりしたら、一般の人はどう解釈するのだろう、と嘆かわしく思われます。世の中にあふれる情報には、間違ったものもたくさんあり、それを選択するのは本当に大変な時代なのだなーと感じます。患者さんの側から、正しい情報の選択をする事は、かなり難しいことだと思います。患者さんは具体的な診療内容も大切ですが、先生の診療に対する考え方もあわせて良く聞き、理解し、納得し、治療を受けるのが唯一の選択の方法ではないかと思います。

(7) インフンフォームドコンセントについて・・・

 最近話題のテーマで、一般の方からもよく尋ねられる事なので、当医院で考えるインフォームドコンセントについてお話します。
 『説明と同意』これが直訳です。現在は病気の説明のほか、治療方針とそれに伴う危険性、またその治療の成功率の説明を求められています。これらの説明は昔から行われてきたことですが、滅多に起こらないような危険性の説明は、あまりされてきませんでした。どのような治療にもある程度のリスクは必ず存在します。患者さんは、従来はあまり詳しく説明されなかった、治療に伴うリスクを一律に聞くことにより、そのリスクがたとえ5%でも1%でもとても迷うことになります。それはそのリスクを患者さん自身で背負わなければいけないように実感させられるからです。
治療方針を決定するのは最終的に患者と医師であり、そのことに医師は責任を持っています。患者さんはその治療方針に同意するかしないかを決定する権利を持ちます。
昔の患者と医師の関係は、医師は自分の治療に最善を尽くし、そのことに責任を持ち、患者さんは医師が常にそうしていると信じている、よい関係がありました。信じている医師の薬はその効果以上に効き、医師と患者の信頼関係は、病気を治すために一番必要な事でした。今もそのことは全く変わりません。
 しかしながら情報開示の流れを逆行して、治療方針の決定の大部分を医師の判断にゆだねる様な、昔の関係に戻るのは難しいとも思います。
 当医院では、患者さんにあわせて臨機応変に対処するのがよいのではないかと考えます。不安性の患者さんに必要以上に不安をあおるような事を話すのは、決して患者さんの為になりません。また歯科のことをたくさん勉強して来られる患者さんには、歯科大の学生に説明するように、1から全てを話し、納得頂くのが良い方法だと思います。病気を一番効果的に治すにはその患者さんにとってどれが最善か、を判断しながら説明を進めていくのがよいと思っています。

 インフォームドコンセントは元々アメリカから入ってきた考え方で、よい部分もあります。しかし、アメリカはどの分野でも訴訟が非常に多いという事情があり、患者さんに、よりよく治ってもらおうと言うよりは、あまりにも多い訴訟への対抗手段としてのインフォームドコンセントという面も強いと思います。

※私の医者選び・・・
 私は医師と患者は親と子の関係に似ていると思っています。親は一時だけではなく、長い目で子供の将来を考え、時には子供の考えを変えてでもよい方向に導いて行こうとします。人間には間違いが付き物ですが、やはり大人と子供では圧倒的に大人の方がより多くの情報から正しい判断が出来るからでしょう。どんなに患者さんが病気の事を勉強されても、何年もの間、毎日毎日病気の事を勉強し続けて来た、専門医にかなうはずがありません。いろいろな考え方を聞き、信頼できると判断したドクターがいれば、後は信頼して任せていくのが一番良いと私は思いますし、私自身はその基準で医者を選んでいます。もちろんドクターからの十分な説明は不可欠です。またドクターサイドは、患者さんは病気に関してはあまり知識のない危ない子供の様な存在と考え、時にはやさしく、時には厳しく、『どんな時も、患者さんを自分の家族と見立てて行動する』ことが必要だと思っています。

 

(8) リスク管理について・・・


当医院でのリスク管理について・・・
 最近、世間話のなかで『先生は今までの治療で失敗の経験がありますか?』という質問を受けることが多くあります。毎日毎日いろいろなメディアのニュースで、医療ミスの話題が数多く取り上げられているわけですから、あたりまえの疑問かもしれません。正直に申し上げると、私はその話題を見るにつけ、自分じゃなくてよかったと心から思い、また背筋が凍るような思いもします。なぜなら人間の仕事に100%完璧などということはありえないからです。失敗の中にもいろいろあります。物を落とすといった小さなミスから、命にかかわるような大きなミスまでミスの種類もいろいろです。
 私たちの病院では、仕事のリスク管理において、優先順位を明確にするよう考えています。たとえば外科の先生なら誰でも、命にかかわる治療が最優先順位にくることは明確です。矯正治療では命にかかわるようなミスはめったにあるものではありません。しかしながら、歯並びの仕上がりに関係してくるものや、治療期間に関係してくるものなど患者さんに直接不利益になってくるものも多数存在します。逆に毎日の仕事の中で、患者さんには直接関係しないミスも沢山あります。そのミスに一つ一つ優先順位を考え、患者さんに関係するものに関しては、限りなくミスが0になるよう心がけ、それ以外のことはむしろあまりストレスにならないようラフに考えています。メリハリをつけて仕事をしないと、ミスしてはいけない部分での緊張を保つことが困難になると考えるからです。すべてに完璧を求めることは、逆に肝心な部分のミスを誘発してしまうと考えるからです。一番大切なのはミスしてはいけない部分での集中力だと考えています。
 人間にはバイオリズムがあり、私生活でも常に平坦な精神状態でいることは不可能です。しかし実際に治療をするときや、診断をするときには、いかに平坦な精神状態を維持するかが大切で、そのことを常に考え、ある程度の私生活もコントロールしております。
 余談ですが私は、お墓参りの時にはご先祖様に、神社では神様に、よい治療が出来るようにとお願いしています。神頼みしてるなんて心細いと思われるかもしれませんが、人間の力ではどうすることも出来ないことは、世の中にたくさんたくさんある事を知っていますから。

 


医療法人社団 直珠会 なかむらばしデンタルクリニック

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